2017年は飲食店の倒産件数が増加。

飲食業の倒産件数が増加しているニュースが発表されました。(2017年1-12月速報値)

なかなか飲食店が取り巻く環境は厳しいです。

その理由としては

  • 競争の激化
  • 人件費の高騰(最低賃金の上がり方がスゴイ)
  • 原材料の高騰
  • 販売不振

などです。

上記の原因は、飲食店に限らず、どの業界にも共通している事象です。

東京商工リサーチによると「販売不振」が621件で全体の約8割。次いで、「事業上の失敗」が42件、「赤字累積」が34件。

景気が上がっているが、倒産増加という矛盾を説明をするメディアは共通して

「景気向上の実感がないため」と言います。

ここでは原因までは突き詰めないですが、結局開業数が増加しているため倒産数が増加するのはごく自然なことではないでしょうか。

景気が良いから倒産が減るという理屈ではなく、飲食店の開業が増加して、より競争環境が厳しくなっているということです。

見方を変えれば景気が良いから開業するという人が多くなっているということです。

これが2017年に倒産件数が増えた理由と考えています。

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飲食店倒産と廃業

倒産とは、主に資金繰りが困難になり、返済ができなくなることです。簡単に言えば借金の返済もできず破たんすることを意味します。

廃業は自主的に閉店したりすることで借金があるなしに関わらず事業を辞めることです。

まず、これを混同しないようにしましょう。

つまり廃業を足すとさらに飲食店は閉店しているということです。

それでは見ていきましょう。

2017年の倒産件数

帝国データバンク倒産件数

帝国データバンクから引用

倒産件数が707件とここ2年を大幅に上回りました。

ほとんどが、小規模で1億円以下の負債ということは、開業から短命に終わる企業が多いのではないでしょうか。

大手でも競争が激しくなり、居酒屋チェーンなども不採算店舗の閉店を進めています。

好調な会社は次々に新規開店して多くのエリアに進出しています。

その競争に巻き込まれた中小企業、小規模店舗が急激な変化に対応できていないのが、今回の倒産増加の要因のひとつです。

販売不振が原因なのは、競争環境への対応が遅れたことはもちろん、事業構造に問題がある場合がほとんどです。

これを簡単に言えば、収入に対してコストが大きい

売上が不振でもコストが低い設計であれば、回復する可能性は十分あります。

(コストを下げる方法は、このブログの関連記事などに載せてありますので参考にしてみてください。)

その解決策のひとつとして生産性改善の必要があるのですが、そもそも設備投資をする余力がない、ノウハウがない、リソースが乏しいとなると改善できないまま滑り落ちていく悪循環を生みます。

すでに過剰投資をして返済が厳しい場合は、銀行に相談しにいくしかありません。

金融機関としても回収することは至上命令ですから、返済方法の提案など協力してくれます。

同時に人件費の高騰や食材の高騰も上がり続けており、財務体質が脆弱な場合は短期の赤字でも一気に資金繰りが苦しくなります。

例えば、苦しい状態が続くようならば耐えて回復を待つのも選択肢ではあると思いますが、撤退ラインを決めて倒産する前に廃業するという選択肢もあります。

(企業破産の場合、会社代表者が会社の債務の保証人などになっていることがほとんどであるため、会社代表者の個人破産もしなければならないこともあります。)

これは他人事と思わず、常に変化に対応する準備をしておきたいものです。

開業と廃業の関係

開業率と廃業率のグラフ

中小企業庁から引用

上は、開業と廃業の関係グラフです。

まさに飲食店は開業率と廃業率が飛び抜けて高いのがわかります。

開業が約9.7%、廃業が約6.5%というのは飲食店10軒に1軒は新規開店した店ということです。

一方15~16軒に1軒は潰れているということが見て取れます。

新規参入がしやすいために、競合が次々と生まれていく状態ですね。

つまり、倒産が増加するのも開業数が多いからということ、競合が次々に出てくることが要因なのは明確になりました。

いかに環境に適応していくか、つまり顧客獲得に向けての行動がとれているかが、今後生き残る術になっていきます。

2018年以降もこの傾向は多くなるかもしれません。

まとめ

倒産件数が増加したのは、開業が増加しているため市場環境が厳しくなっていることが要因のひとつです。2017年に限らずこの傾向は続きます。

景気が良いなら倒産しにくいのではなく、景気が良いため、これまで以上に新規参入が増えてくることを認識しておきましょう。

顧客を獲得するために、他社との差別化はもちろん、新しいサービスの開発や生産性改善をできるうちに実施していかないと倒産、廃業をすることになる可能性が今まで以上に高くなりますので、常に変化することを心掛けていきましょう。

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