飲食業でも技能実習生の認可確実。外国人店長が誕生する。

外国人店長

人手不足が深刻化しています。飲食業を含むサービス業では有効求人倍率3.0倍程度にもなっています。

将来的にも人手不足を補う見通しどころか、2030年には現在の5倍不足する予測さえ出ている状態です。

そこで白羽の矢がたつのが外国人労働者の受け入れです。

ここ近年、政府も外国人労働者の受け入れ拡大を進めようとしています。

ただし現状、飲食業では、外国人雇用を正社員での受け入れは原則法律では認可されていません。

お店で、よく見かけるのは留学生のアルバイトをしている方です。

いま議論されているのが、外国人技能実習生を飲食業にも適用していこうという動きです。

業界としても要望の声が強く、飲食、サービス業にも外国人雇用が生まれるのは時間の問題でしょう。

これにより外国人店長が増加していく可能性が高いわけです。チェーン店では、店長会に外国人店長が半分以上なんて日も来るかもしれません。

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飲食業の外国人労働者の現状

外国人を雇用するには、正社員とアルバイトの2種類があります。

現在、正社員として雇用する場合、飲食店で調理の実務経験が10年以上あれば、コック(調理師)とし技能ビザを取得し、就労することができます。

※ただし、日本人でも作れるような簡単なものは10年以上は無理です。ベトナム料理とかタイ料理とかの専門性が必要です。

アルバイト雇用の場合は、取得している留学ビザでは就労はできませんが、資格外活動許可が得られると、1週間で28時間以内であれば就労することができます。

ただし、現在拡大しようとしているのは上記のような専門職、留学生ではなく飲食業でも技能実習生の外国人雇用認可をして増加させる方向です。

外国人労働者の制度

仕事外国人

原則として日本は一部を除いては、外国人労働者を認めていません。

一部というのは高度技術や職務を遂行する人材に関しては、就労ビザを発行することが可能になっています。

例えば、プロ野球の助っ人外国人なども就労ビザで働いています。外資系企業もこれに当てはまりますね。高給人材と言えばイメージがわきます。

ただ、不足しているのはもっと一般的な職種です。介護現場であったり、建設業であったり、サービス系であったり、身近なところですよね。

コンビニや飲食店でも外国人店員を見かける機会は多くなってます。その多くは以下の制度を活用している雇用就業です。

外国人技能実習生

発展途上国を中心に、日本で働きながら技術を習得していきます。

一定期間就労し、帰国してから、日本で培った技術を移管することで発展途上国が経済的に自立していく支援の一環として受け入れている国際貢献制度です。

しかし、これはあくまでも建前。実質的には形骸化してます。

実際は、労働力獲得のためにこの制度を利用している企業がほとんどです。

名目上実習生(正社員ではない)ですので、基本3年しか働くことはできません。帰国後は日本への就業は不可です。

業種によっては、技能と日本語の習得によっては5年間に延長可能。この期間は日本の人口減を考えると10年と伸びていくでしょうね。

今回、外国人労働者として、拡大するのはこの技能実習生です。

これまでは就業できる業種が限定されていましたが、本格的な人材不足に対応するためにあらゆる職種へ適用する動きなっています。

外国人留学生

海外から日本で学ぶ留学生もアルバイトをしながら生活費、学費を稼ぐ必要がある場合は仕事をします。

ただし、あくまでもアルバイトです。

法的に1週間あたり28時間までしか働くことはできません。(長期休暇中は40時間)

これ以上働くと翌年のビザの発行がされず、帰国せざるを得ません。また雇用した企業も罰則を受ける場合があるので注意が必要です。

日本語学校

ここ数年で日本語学校はかなりのペースで設立されており、日本語を学びに留学してきています。ベトナムやタイなどアジアからの留学生が多いようです。

ただし、日本がブームになっているわけではなく外国人技能実習生の扱いの監理が厳格化しており、外国の斡旋(送出し機関というのですが)業者が簡単には日本へ誰でも送れる状態ではなくなりました。

その代替策として日本語学校に留学という名目で労働力輸出・出稼ぎ機関として設立しているわけです。

人権問題なども含みますが、ここでは主旨が異なるので説明は省きます。

特徴としては、日本語のレベルは低いので接客業に就くには少々訓練が必要です。

大学、専門学校

高度教育を受けている留学生のアルバイトですね。国籍が違うだけで、日本の学生と授業も同じですから、雇用すれば、学生アルバイトですね。

ちなみに大学の留学生は日本語を違和感なく話したり、聞いたりするスキルは高いです。

また留学できるほどの能力と意欲があるので、アルバイトで採用する場合はオススメです。

飲食業の外国人技能実習生受け入れはいつから?

SHOP

2018年現在では、技能実習生の飲食業やサービス業の従事はまだ認められていません。

しかし、業界団体は数年前から政府に声を掛けており、業界の人手不足は深刻です。

(そのほかでは、▽ビルクリーニング▽素形材産業▽産業機械製造▽電気・電子機器関連産業▽建設業▽造船・舶用工業▽自動車整備業▽航空業▽宿泊業▽農業▽漁業▽飲食料品製造業も検討中)

2018年6月に政府が公表した「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」で高度外国人材以外の拡大を明確にしたことで、さらなる就ける職種の規制緩和が行われるのは確実です。

2019年4月1日から導入とみられています。

与野党の議論が国会で行われますが、多少の修正はあっても廃案にはなることはまずないでしょう。

技能実習生の就労期間は?

現在は、基本3年間で修了します。ただし、優良な組合(事業組合から斡旋する必要が実習生にはあります。)、受入企業に関しては5年まで可能です。

また、改正案ではさらに在留期間を更新できる制度「特定技能2号」も制定され最長10年間、仕事に就くことができるようになると思われます。

実習生として働く期間が終了すると本国に帰国します。再度来日しての就業は認められていません。

このあたりは、将来的には改められ実質的には移民となって恒久的に働くことができるようになるのではないかと僕は考えています。

外国人店長の誕生

日本での長期在留が可能になれば、飲食店でも外国人店長が誕生するのも時間の問題です。

特に外国人観光客も増加していることから、人材としては貴重な存在になります。

まず初期段階では、外国人観光客が多く訪れる地域に配属し、能力がついてくれば店長にいずれなるのは確実ですよね。

もちろん、観光地ばかりに展開するわけでもありませんから、いずれ特殊店舗以外の店長職にも外国人が就くことになります。

受入体制が重要

外国人店長研修

日本人を対象にしても、サービス業の離職率は30%を越え続けています。

そんな中、転職の自由が技能実習生にはありません。(あくまでも技能を付けるため)

追記 技能検定に合格して、条件をクリアすれば同業種に限り転職できる自由が可能となりました。

つまり、通常5年も働けばそれなりの職位になりますし(例えば店長や副店長)、外国人だからといっていつまでも安い給与の平社員では不満が溜まります。

職位が上がらないということは、多くできた後輩に抜かれるわけですからね。後輩が上司になるといってもお互いやりにくいですしね。

もちろん能力で査定するのでしょうが、どうしても外国人は不利になるでしょう。(差別ではなく言語、文化の壁)

しかしながら5年で帰国してしまうとなると会社側も責任あるポジションを与えるのは躊躇するのは当然です。

このあたりの問題は人事をきちんとすることが受け入れる企業としては大切です。

それでも人材不足を解消するには外国人店長にせざるを得ない会社は多く出てくるのは間違いないですね。

退職する店長人数に対して、展開している店舗数が追い付かない場合は入社1年、2年目の日本人よりも3年以上働いている外国人技能実習生の方がスキルもあるのであれば店長になるのは自然の流れだからです。

しかし飲食業では課題も多い

外国人店長教育

そもそも2017年にはじめて、外国人実習生の対人職種の「介護」が認められたばかりです。

それまでは製造業を中心とした技術職でしたので、飲食業に適応できるかどうかはこれから注視していかなくてはいけないと思うんですよね。

対人でも接客となると外国人だから日本語が通じにくくても仕方ないと考えてくれるお客様はまだまだ少数派です。

(来日前に半年程日本語訓練を受けますが、わずか半年でマスターできるわけないですよね。ただでさえ難しい日本語と言われていますし!)

マネジメントの部分でも、対日本人では基礎文化が違いますし、日本の細かいサービスや管理業務というのは外国人技能実習生の出身国(ベトナム、タイ、インドネシア等)ではなかなか未達な部分が多く浸透するまでに至るかどうか難しいと思います。

新興国は基本、若い人口が増加していることによって需要が大きくなって経済成長をしているので細かいサービスというまでは手が届いていません。(富裕層対象の高級店は除く)

成熟した日本の飲食店で教育をするコストというのは、言語の壁や文化の壁も含めて、割高になります。(金額・時間)

現場の上司もトレーニングする能力を高めていかなくてはいけません。

日本人と同じようにというわけにいかない場面はたくさん出てきます。それこそ日本での私生活のルールまで教える必要があります。

いくら人材不足が著しいと言っても受け入れる側の体制がないと現場は混乱するのは安易に予想できます。

安易に人材不足だからといって手を出すのではなく、日本人の社員を獲得できる給与、労働環境を整える方が実はコスト面で優位になる場合もあるんじゃないでしょうか。

まとめ

飲食業で外国人技能実習生を受け入れるのは2019年4月からがほぼ確実です。

単純労働ではなく、マネジメントまで期待するのであれば企業側の教育・人事体制を見直す必要があります。

離職率が高いサービス業では、店長として活躍する外国人も増加することは決して遠い未来ではないでしょう。

近い将来英語は最低でも必要になりそうですね。上司も部下も外国人となると濃いコミュニケーションにはどうしてもニュアンスが日本語ではできなさそうですからね。(もちろん観光客も)いまは、通勤時間や隙間時間を使ってスマホアプリで英語勉強できる時代です。

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