
飲食店を開業したい方はいくらお金が必要か気になると思います。
個人事業で小さな規模の店舗だとしても資金が掛かってしまいます。
物件の広さや立地に左右されるので明確に必要な額は出せないんですが、相場で700~1000万程度、最低300~500万円でも低予算と言われています。
300~500万円が低予算に分類されますが、これふつうに考えたら結構な額ですよね。
もちろんうまくいけばいいのですが、もし半年で閉店に追い込まれたりしたら、シャレにならない金額を失うことに。
計画をしっかりすればと言うものの計画通りにいかないのが商売です。うーん、厳しい。
そこで今回はいかに低予算で飲食店の開業する際必要になる物件取得費を抑える方法を紹介します。
裏技と言っても当たり前なことばかりですので、ぜひ検討してみてください。その方法とは
- 最初は小規模ではじめる
- 物件取得のルートを変える
- 改装をセルフリノベーションにする
以上の3点で初期費用を抑えて新規出店が見えてきます。
では具体的に見ていきましょう。
物件取得費用を抑える
僕の個人的な考えですけど、そもそも飲食店に限らず商売をはじめるときはローリスク・ローリターンであるべきじゃないかなと常々思っています。
うまくいけば少しずつ拡大して、飲食店なら移転や2軒目に投資した方が継続しやすいです。
いきなりドカンと投資するからと言って成功するわけでもありませんし。
最もお金が掛かる物件に関してはできるだけ低く抑えたいというのが本音ですよね。
いまや立ち食いとかも「俺の」シリーズでフレンチさえ成立していますし、小さい店舗で回転させることさえできれば成立する時代ですから小さく生んで大きく育てるという方針がいいと思います。
撤退時も費用が低くなるので、終わりのことも考えておいても損はないです。
最初は小規模ではじめる

いきなり30席とか40席もある広さの店でスタートしようとする人もいますが、危険です!
大体30席なら20~30坪程度の広さが必要になりますので、家賃そのものが高くなるのはもちろんですが、物件取得費用も上がりますし、設備導入と改装する費用もそれに連れて高くなります。
維持管理という継続的な固定費と修繕費が掛かってきますから、規模が大きい場合そのコストはダイレクトに利益に響きます。
ここでは省きますが広ければ広い程運営コストも高くなりますから、まずは小規模店舗でスタートしましょう。
徐々に広げる、つまり移転や2店舗目、3店舗目と成長させていけばいいんです。
これが多少資金に余裕があったとしても小規模ではじめるべきです。
物件取得のルートを変える
一般的に、物件情報をインターネットや不動産屋で探して内見します。気に入れば不動産屋仲介の元、契約します。
この時点で仲介手数料(家賃の1か月分)保証金(家賃の6~12か月分)、最初の家賃1か月が物件取得費用として必要になってきます。
例えば家賃15万円ならば、
仲介手数料15万円+保証金90万円(半年と設定)+家賃15万円=120万円
いきなりこの金額が掛かります。家賃が仮に半額の7.5万円でも60万円です。
正規(?)ルートだと、この費用は確実に必要な経費ですが、初期費用を何とか減らしたいと考えるのが当たり前ですよね。
まず賃貸契約する際に不動産仲介業者を挟まないということです。つまりオーナーと直接契約することが仲介手数料を省くことができます。
出店者側だけでなく、実はオーナー側も入居者が決まると広告料という名目で不動産仲介業者に、あなたと同じ手数料を払わなくてはいけない仕組みになっています。(法律的にグレーゾーンなのですが、今までの商習慣として成立。)
オーナー側も余計な経費払うより直接契約できれば浮きますから、嬉しいですよね。お互いにこの点はメリットがあります。

また家賃交渉や保証金交渉もしやすくなります。
不動産仲介業者からすれば、家賃が下がればその分、手に入る手数料が安くなりますし、そもそも交渉することが面倒だということもあります。
不動産仲介業者の自社管理物件(要は物件情報を持っているだけで何も知らない状態)でなければ余計に手間と人を何回も挟むので事情の勘案なしに交渉はイエスかノーになりがちです。
オーナーと直接契約することはメリットばかりに目が行きますが、デメリットとして重要項目の説明がないということです。
通常不動産仲介業者を通すと借りる際に物件の説明を聞いて問題個所などを教えてくれます。
(※しかし、反面、借りてもらうために問題点の説明を怠ることもあるので一概に信用していいかはわかりません。あくまで法律的に不動産仲介業者は宅建士を通じて仲介しないといけないだけ。営業面からいうと売り上げが必要で、わざわざデメリットを伝えることをためらうこともあります。)
直接契約だとあとから「聞いてない!」とトラブルになってしまう可能性もあります。
オーナーも物件の隅から隅まで理解しているわけでもありませんから、そこは後々トラブルにならないように修繕必要な場合はオーナー負担か借主負担かを話しておくことが必です。
しかしそれ以上に大きなメリットは経費とともにオーナーがどんな方かを知ることができることです。
コミュニケーションが良好に取れれば応援もしてくれるでしょうし、相談に乗ってくれるようにもなりますので、直接契約することは物件探ししたり、慣れない契約の調べものをしたりしますが、それ以上に得るものは大きいです。
不動産仲介業者にある物件だけが空き物件ではないということも知っておいてください。
何年も借主が居ない物件はそもそも不動産仲介業者に借主を探す依頼を取り下げていることもあります。
オーナーが借りてくれるのをあきらめている場合もありますし、自分の物置代わりやゴミ置きにしたりして内見できない状態のものも多々あります。
そのような物件はまず不動産流通に乗ってきません。
あなた自身が出店するエリアを歩いてみて、気に入った物件を見つけたとしても流通に乗っていなければ、不動産屋やネットに情報はゼロです。
しかし気に入った物件であれば、いままで述べてきたように直接契約する方法しかありません。
決して流通に乗っていないからといってもあきらめる必要はなく、むしろ安く借りれることもあるのでアタックする価値はあります。
補足になりますが、いまはオーナーと直接契約できるインターネットサービスも増えていますから、時代としてこれから直接契約することが普通になると僕個人の考えです。
仲介業者に頼んでも借主連れてこれないですし、それなら自分で動くという時代なんでしょうね。空き家も増加する一方ですし。
改装をセルフリノベーションにする

店舗を取得したあとは、店舗の内外装を改装する必要があります。
居抜きの場合はそのまま利用しても構いませんが、スケルトン状態もしくは改装が必要な場合は工事が必要になります。
ちなみに居抜きとは前の借主の店舗内装や設備がそのまま残っている状態で、それを再利用して店舗をはじめることです。この残留物は有料になる場合もあるので借りる前に確認が必要です。
改装工事をすべて業者に頼んでしまうと平均でも坪あたり30万円位は見ておかなくてはいけません。
単純に10坪で300万円、15坪で450万円が必要になる計算になります。
この金額をどうするかを考えていきましょう。
結論からいうと自分で改装(セルフリノベーション)をしてしまうということです。自分でやれば実質材料費だけで済みますから各段に安く済ませることができます。
そもそも業者に依頼すると設計費用だけでも工事費用の3割、そして人件費が人数×日数かかるために坪単価30万円以上かかるわけです。
店舗が大型なものならば自身でやるには限界がありますが、ここでは小規模店舗を想定していますからセルフリノベーションでも十分可能です。
ただし、水道や空調、電気に関しては専門家に任せることになります。
これは素人ではできませんし、賃貸部分以外を触ることになりますので専門分野に関してはお任せしましょう。
要はお金かける部分とかけない部分を明確に分けましょうということですね。
この費用もオーナーと直接契約していれば、オーナーが負担してくれることもありますし、建物自体に関わる修繕、管理費用はオーナー負担が基本ですから工事見積もりを持って相談しましょう。
完璧に仕上げなくても開店してから少しずつ進めていけばいいのもセルフリノベーションならではです。
手直し、追加のリノベーションも、お客さんの反応見たり、自分で勝手が悪いと感じてから、その都度やればいいです。
最初から完成した店舗より、少しずつ成長していく店の方がおもしろさもお客さん側から見ても魅力を感じてくれます。
「工事の仕方なんかわからない」「素人なのに無理じゃない?」ということをお感じになると思います。
しかし、昔と違い今やインターネットや動画サイトにもリノベーションやDIYのやり方はたくさん出ていますから、参考にしていけば意外に素人工事でもできます。
新しい見込みお客様を作るきっかけにもなる

セルフリノベーションを1名でするのもいいですが、例えば「店舗づくりワークショップ」と題して近所(商圏)の方々にイベントとして参加してもらうのも有効です。
ちいさなこどもなどはペンキを塗ったり、タイルを貼ったりする経験はなかなかできないですし、家族連れで参加できるイベントにするえば、おとうさんもおかあさんも参加してくれますのでリノベーション自体が進みます。
これはだましている、利用しているのではなく、自主的に参加してみたいという方に向けてのイベントです。
そもそも実店舗をつくる経験などなかなかできないので、やりたい人には魅力的ですよ。
お店の告知にもなりますし、なによりお客さん自身と一緒につくった店は愛着を持ってくれるものです。
そこで求められるサービスを提供できれば、お店のファンになってくれますし、ほかのお客さんも連れてきてくれるようになります。
この循環を生むことも、このイベント体験の要素に含まれています。
まとめ
低予算で新しくお店を開業するには、いままで常識とされていたことを見直すということに尽きると思います。
特に不動産関係に関しては時代が変化しているにも関わらず、やり方が昔と変わらないままです。
小さい規模からはじめて少しづつ改良していくことが大切です。
スタート時に大きな負債を抱えて回収できずに撤退してしまうと再チャレンジができなくなってしまうこともありますので、最初は完璧を求めず経費を掛けない方法をとるというのがこれからの開業には必要ですね。