飲食店でクーポンは逆効果。お客様が来る幻想が常連を失う。

クーポン10%

飲食店や小売店でクーポンを発行することは結論から言うと無駄な販促です。

無駄と言い切ってしまうと、よく反応されちゃうんですが

「うちは、クーポンで毎月30名くらいの新規のお客が来ているんだ!」とか

「知ってもらうきっかけが必要じゃない!」とか

そりゃね。もちろん、効果はあるんです。新しいお客様を呼ぶには。

新規顧客獲得するコストは高いのは常識でしょうけど、クーポンで反応するお客様を呼び続けたいんですか?クーポン発行コストと割引で結構なコストです。

それだけではないんですよね。クーポンには思わぬ副作用が隠されています。これが厄介なんです。

長い目で見ると利益を押し下げるのはもちろん、顧客からしてもクーポン有りきの値段になってしまい定価では割高に感じてしまいます。

なにより店のブランドやイメージを確実に破壊します。そして常連客から見放される結果を招きかねない武器です。

しかもクーポンへの依存性が強まり、クーポン発行しなくては不安で仕方ない店の体質になってしまうのが問題です。

スポンサーリンク
レクタングル大

クーポンを発行するのは逆効果の愚策

失敗のクーポンでやる気なし

まずクーポンを発行する狙いは新規顧客の獲得やまとめ買いなどを促すものです。

一見、クーポンがあることでそれならば行ってみようというのが顧客心理と思いがちですが半年や一年のスパンで考えた時には愚策としか言えない販促です。

なぜなら自ら価格競争に参戦する宣言をするから。

販促だから、来店機会の創出とか色々言い訳をしてしまいがちです。

でも、考えてみてください。

安くしたら売れるかもって、こどもでも分かるような施策をわざわざするなら、違う投資に回す方が賢い選択であることは明確ですよね。

ここではクーポンに付きまとうネガティブな副作用を見ていきましょう。

利益率の悪化

利益率飲食店ダウン

小売店や飲食店の単価や利益率を考えると、わずか100円の値引きクーポンでも影響は軽くありませんよね。

飲食の場合、分かりやすい計算として客単価1000円でFLコストが70%として粗利が300円。

これに固定費15〜20%を載せると100円の値引きが10%と利益を押し下げます。

実質的には利益0円とか下手すれば売れば売るほど赤字になるものさえあります。

小売店でも原価60%、変動費、固定費合わせて20〜30%とすれば、同じような結果になります。

もちろん全員のお客さんがクーポンを利用するわけではないのですが、新規顧客獲得のコストはどの業界でも高いわけです。

コストが上がれば、当然価格に反映したいところでしょうけど、それではクーポンの意味もないし、これまで利用してくれたお客様は離れていく。

結局、販促費用として割り切るものの、クーポンに投資した金額さえ回収できるか危ないなんて冗談にもならないこともままあります。

5万円かけてクーポン利用客数+不使用ながらクーポンを見て来店した客数(見込)が例えば10名だと新規顧客獲得コストは1名当たり5000円。これを回収するには何回も来てもらわなければ全く割に合わないかもしれません。

※見込に関しては直近1か月の平均日客数とクーポン発行後の客数を比較したりして大枠でのカウントをしていくしかありません。アンケート取れたら明確でしょうけども、そこにもコストが乗ってきます。

利益率が上がることもあるが

ランチセット

矛盾するようですが、利益率が上がるクーポンの使い方もあるのは事実です。

具体的には、抱き合わせやプラスワンのクーポンをうまく使うことです。

抱き合わせとは2つ買えば10%offというよくアパレルで見られる方法です。飲食店ではセットになります。

利益率が高い商品との抱き合わせであれば差異分が値引き分を相殺してくれます。

もちろん利益率が高くて売れ筋であれば、わざわざ抱き合わせる必要はありませんが、そこまで人気のない商品であれば抱き合わせによるクーポンは有効です。

注意としては利益率が高いと言えど、販売価格が低ければ賄いきれない、しかし不人気商品との組み合わせでは売れないというジレンマの合間をクリアして設計が必要です。

新規顧客にとってはクーポンありきの店へ

クーポン探す

クーポン利用目的で来店されるお客さんは、その価格が基準になります。

つまり、本来の価格では、同じものであれば割高に感じてしまいます。

またクーポンがあれば、次回もあるかもしれませんが、定価で利用しようという方は少ないでしょう。

典型的な代表例では、マクドナルドでしょう。

アプリのクーポンがなければマクドナルドの価格は高いとすでに感じている消費者がもはや大半を占めています。

マクドナルド側もそれを十分に理解しているからこそ、新商品やキャンペーン商品の定価を高めに設定しています。つまりクーポン使用後が適正な価格になるように設計されているわけです。

クーポン乱発の副作用

カンフル剤注入店長

クーポン発行により、来店者数が伸び、売上が増加した経験がクーポン乱発を招きます。

簡単に言えば、クーポンはカンフル剤のようなものなんですよね。

発行せずに営業してると客数は減ってきてしまう。そうすると以前の成功を思い出してクーポンを出したくなる。そしてクーポンにより客数が増加して安心する。

しかし、肝心な利益率は徐々に減っていき、高コストな経営体質になってしまう。

結果的に定価で購入してくれるお客様が目減りしていくので全体の利益率に影響が出てきてしまいますよね。

リピーターに繋がると言う希望的観測

希望的観測の副店長

結論を言うと、クーポンを定期的に発行するとお客様は飽きるんですよね。

「また、あのお店のクーポンがある。そんなに暇なのかしら」

「何回か行ったし、違うお店のクーポンもあるからそっちに行ってみようかしら。」

と気まぐれだけでなく、店のイメージも安売りする印象があるんですよね。これって結構怖い話です。

そもそもクーポン好きな人が中心に利用されますからね。同じものならば、少しでも安くしたいというのは当たり前の心理ですけども。

クーポンがないと適正な価格であったとしても割高として扱われ、クーポンの利用人数が増えれば増えるほど、通常価格の時には閑散化してしまいます。

つまり、定価のお客様の割合が減るということは、クーポンによる値引き目的のお客様が取って変わっている、もしくは転換していることに繋がります。

長い目で見ると、これは値下げの圧力を受けることになります。値下げしても来るか保証はありませんが、定価だとお客様は目減りする一方です。

常連顧客が去る原因となる【イメージ破壊】

イメージダウンの店は拒否

単価が2000円以下の場合、クーポンといっても100円程度割引にするのが普通ですよね。

言い方は悪いですが、たかだか数十円や100円程度の割引で敏感になるような客層は利益をもたらしません。

常連さんが去る原因の一つにクーポンの副作用とも言うべき客層の悪化が挙げられます。

クーポンがあるから利用する客層は、価格重視で来店されることがきっかけです。

もちろん、クーポンを見て初めて店舗を知ることもあるでしょうが、ほとんどの方は「安くなる」からです。

それに対して、今来ている常連のお客様は正当な価格に対して対価を払っています。

高いと感じているのか安いと感じているかではなく、サービス、雰囲気、商品に対して見合う金額であるから来てくれているのです。

一時的に来客数が増加するのは、店の経営にとってはうれしいことではありますが、新規来店客が増えれば一人当たりのお客様に対してのサービスの質の低下は免れません。

従業員に対して、来店されるお客様が増加したら担当できる、接客できる時間は確実に減りますからサービスを担保にしてまで常連のお客様は安くして欲しいわけではありません。

これはお店のブランドや質へのイメージを破壊します。



価格競争参入宣言

価格破壊

クーポンは他店に対して価格優位性を持たせる武器です。

価格競争に参入するわけですから、他店もそれに対抗するクーポンを出す可能性は常に含まれます。

特に例えばあなたのお店がクーポンで集客に成功すれば、それ以上の値引き率を出してくるでしょう。

商圏に居る対象人口は変わりませんから、お客様の取り合いになるのは当たり前です。

ざっくり言えば、わざわざ安物買いの顧客層に進出していく必要があるのかを考えた方がいいでしょう。

そもそもセグメントの違う顧客を奪いにいくと、既存のセグメントを守れるのかどうかはとても疑問に残る施策なわけです。

客層変化は、店舗の変化を生じますので慎重に慎重を重ねて検討しましょう。

まとめ:違う努力に力を注ぐ

仮に分析して価格に問題があると考えるのであれば、まず品質の向上を目指した方が結果は出るんですよね。

ここで言う品質とは今までの食材の見直しやサービス向上、店内の装飾やディスプレイ、雰囲気などです。

クーポンに投資は、一時的な効果を確かに生み出しますが、副作用やイメージを考慮すると選択肢として愚策です。

お店にこれ以上することはない!という完成はないのですから、より魅力をつける先行投資や実験をして、定価、高単価でも客数が増加し続けるような方向の努力をする方が長い目で見た時にブランドとしてお店が成立していきます。

スポンサーリンク
レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル大