まず決断をする材料としては、コロナ禍が終了して売上が回復するのかどうか、借入金を返済するなど回復したしても希望的観測ではなく、地に足を着けて考えてみないといけません。
今回の内容と結論としては、コロナ禍が終了することを前提としない、むしろコロナ禍は数年以上継続すると考えた方がいいわけです。
しかし、それでは閉店するしかないと思われるかもしれません。
本当にコロナ禍が終了した場合、それでもテレワークなど新しい生活様式などにより、回復は難しいのかを考えていきます。
目次
飲食、小売店は都市部、地方と限らず苦しい
新型コロナウイルスによる飲食店、小売店を始めとして苦しい時期が続いています。
特に業種(特に酒類)の提供を前提にしている店舗は厳しいどころではないです。
いくらどんなに頑張ってみても、人が歩いていない、夜になると全く閑古鳥がなく、時短営業を強いられるとなる。
これでは財務状況が悪くなる一方です。
固定費は当然、変動費も正直、営業する限りは掛かるわけで。
もちろん、都心部では自治体が正式に時短営業に対する協力金が出るので、ケースによっては助かっている店もあります。
しかし、時短協力が出ていない地方都市や小売店などは、協力金自体でないわけで、持続化給付金もすぐに消えてなくなったのが実情です。
当然、閉店するということを検討せざるを得ない、しかも時間的にも資金的にも限界点に近づいているなかで、悩むのは当然です。
頭のいい官僚や国会議員では体験したこともないのに、色々議論されても濡れ手に粟です。
閉店する場合でも、それなりの金額が掛かるために、どちらを選択したらいいのか、まさに究極の選択を迫られているわけですよ。わかってないんでしょうけどね。
継続するなら、とにかく売上よりも利益を最優先に考える
これまで、飲食店や物販は利益率に換算すると10%もあれば、御の字である業態です。
しかし、現在の新型コロナウイルスの影響で、売上増は期待できません。それならば、低売上、高利益率を目指す以外の選択肢はありません。
1.付加価値が高いものを、適正な価格で売る。
2.コストを見直す。
この2点しかありません。
これまでのやり方では全く通用しない
そもそも店舗というのは、集約的労働産業ですから、何よりも人件費を掛けることで成り立つような事業構造だったわけです。
その結果売上が損益分岐点を下回るのは、すぐです。
前年比90%にもなれば、赤字になるような産業です。
つまり、これまでの営業スタイル、事業構造のまま営業を継続するということ自体不可能に近いわけです。
新商品を開発する
新商品の開発をするといっても大げさなものではありません。
設備を導入したりする大きな初期投資も必要ありません。
新しいメニューを開発するだけです。
しかも分野を絞るだけ。
飲食店であれば、
通販にも耐えられる(賞味期限が長い、保管、配送が可能)ものです。
熱々の料理である必要はありません。
例えば、独自の調味料を開発する、スイーツを開発していく、もしくはSNSなどでレシピを発表していく。
他にもホームページなどの整備をして、販売受付を滞りなく行うなど、できることはたくさんあります。
物販系であれば、アパレルを例にすれば、購入以降の発信と商品です。
コーディネートのアドバイスをzoomで行えるなどの購入後のフォロー付きにするとか、洗濯する方法(ケア)、もしくはそれに必要な消耗品、機材を販売する方法など。
アパレルだからって、服を売るだけでは無理です。
しかし、これまでショップをやってこれたのは服の魅力だからでしょうか。
いや、これはあなたの商品のセレクト力をお客様が信頼しているからです。
センスと評してしまうと曖昧になってしまいますが、そのセンスも含めて購入しているのです。
服の購入だけでなくその後を売上に繋がるサービスを商品化していくことを考えていくことが重要です。
上記は、一つすれば、いいわけではありません。同時並行です。
商品開発、プロモーション、流通、価格のマーケティングの4Pと言われるものを今までと違う営業方式で取り入れていかなくてはいけないわけです。
ただただコロナ禍の嵐が過ぎるのを待っていても苦境は続きます。
厳しいようですが、いままでと同じことでは通用しないマーケットになりつつあります。これからも営業継続をしていくなら、前を向きながら行動を変えていかなくてはいけません。
価格帯を考える
例えば今まで、客単価3000円程度だったとしましょう。
これを一気に6000円に変えるにはどうすればいいでしょう。
答えを言えば、客層を変える必要があるわけです。
客層を変える方法は、ここでは説明しませんが、業態を変えることも一つの選択肢ですし、商品の内容をこだわりにこだわるというブランド化へ舵を切るのも一つです。
内装、発信方法やサービスレベルの向上も必要です。
逆に思いっきり単価を下げていくのも、実は効果的です。
飲食店であれば、量が多い、安い、味が濃いというのは、流行るわけです。
服も、高品質、低価格は売れるわけです。
この場合は薄利多売です。これは不況ビジネスでは実は鉄板です。
まず生き残ることを目指すなら、キャッシュを回すことを前提にしていくことが必須です。
生き残れる目処がたってから、立て直してもいいんです。いまだにブランド価値とかイメージとか今は不要なプライドです。
不要不急の外出がいけないとなっていても、流行る店には人はやはり多く来ます。
通販でも全国から発注がきます。安ければ、あらゆる方法であなたの店を探してきます。
コストを下げる
固定費、変動費それぞれ見直して、見直して、それでも見直す必要があります。
コストを最低限まで下げるとサービスや商品の質が下がってしまう、また限界までコストダウンをしているのは承知です。
現在の業者の契約を見直す、通信費や清掃業者、ゴミ収集を周りと連携して費用を下げる。
リースを辞める、冷暖房の温度を下げる、仕入れロスをなくす為に商品を絞る。
金融機関の毎月の返済額を下げてもらうなど、見直せるものは見直してみてください。
当たり前で仕方ない費用と思って見過ごしているものもあるはずです。
たかだか数千円だとしても、その数千円の利益を生むにはその何倍の費用が掛かるわけですから、業者に相談してみることも大切な行動です。
家賃を下げる行動を
ギリギリに詰めても無理という場合、最後は家賃を一時的に下げてもらうこと、テナントであれば共益費を下げてもらうなどしか方法はないわけです。
大家さんやビルオーナーからすれば、家賃を下げることは簡単ではないですが、それでも、もし空きテナントになれば、テナント収入がゼロになるわけです。
そのあと、すぐにテナントが入居すれば問題ないでしょうが、このコロナ禍では正直なところ見込みは薄いわけです。
それであれば、30パーセントでも一時的に家賃を下げてもテナントには居てもらいたいというのが本音です。
これは不動産管理会社に言うよりもオーナーに直接お願いした方が効果的です。
あくまで不動産管理会社からすれば、値下げしようがしまいがオーナーからの管理費用は同じなわけです。
家賃交渉の記事は以前のこちらの記事を参考にしてみてください。
飲食業開業!家賃と物件取得費を低く抑える3つの方法を教えるよ。
閉店を決めることは悪いことではない
閉店をすることは、苦渋の決断になります。
自身の生活、従業員の生活はもちろん、閉店時の費用も安いものではありません。
しかし、いつまでの悩み、苦しんでも身軽にはなれません。
思い切って、決断することも前を向くために必要です。
スタッフの生活を守る必要はあるのか
これは大変、難しい問題です。
頑張ってきてくれたスタッフを路頭に迷わすようなことはできないという気持ちはとても優秀な経営者ほど考えています。
しかし、全員が共倒れしてしまうと再起することさえ不可能になります。
沈没船の船長では的確な判断をしなくては生活を守るつもりが、給料を減らし、再度みんなで働く機会やチャンスさえ失いかねません。
雇用保険に入っているスタッフに関しては、離職理由を解雇とすることで雇用保険手当がすぐに貰うことができます。特にコロナ禍の影響で、雇用保険手当も延長の特例措置があります。
この特例措置もいつまでも続くものではありませんので、共倒れする前に身軽になるのも必要です。(リーマンショックの時も一時で終了しました)
しばらくの間は、雇用保険で生活をしてもらいながらでも、次へと進んでもらいましょう。
給料が減りながら、結局退職して、気がつけば雇用保険手当も減額となると生活を守るなんて綺麗事に巻き込むのはいけません。
本当の優しさとは、現実的なお金を考えてあげることです。
自己破産も視野に入れる
個人の経営者であれば、
閉店に伴い、自己破産する可能性もあるでしょう。
金融機関から借入額が大きければ、その可能性も大きくなるでしょう。
自己破産すれば、財産の差し押さえ等や、不便なこともありますが、それでも身軽になれることは間違いありません。(保証人設定している場合は確認すべきかもしれませんが)
もちろん債務者側には迷惑を掛けてしまいますが、自己破産をするのは法律に裏付けされた権利であることを認識しましょう。
繰り返しますが、自己破産することは当然の権利です。
新型コロナウイルスの終焉を期待しない
ワクチンによって新型コロナウイルスの流行が終焉すれば売上が戻るという前提で営業継続をしている場合は少し考えて見る必要があります。
仮に、ワクチンが実は効果が得られない、もしくは薄いということが判明したときにどうなるでしょうか。
より泥沼化していく可能性もあります。
みなさん、経営者なので、その選択がいいのか悪いのかは間違いなく、その場合の対案を用意しておいて欲しいのです。
新しい生活様式は定着しない
新型コロナウイルスの感染拡大による、いわゆる新しい生活様式とマスコミでは言っています。
さて、新しい生活様式は、今後定着していくでしょうか。
僕が考える答えは否です。
新しい生活様式は、定着しません。(断言!)
これまで、人類は数千年もかけて、生活様式を確立してきたわけです。
スペイン風邪が流行した時代も終焉すれば、元に戻ったわけです。
コレラに関しても、そうです。感染症が流行しても、人類は数千年かけてきた生活様式はDNAレベルで設計されているわけです。
昔と違ってWEBがあるじゃないか。それによって人と関わることができるという意見も、もちろんありますし、間違えてはいないです。
しかし、WEBはあくまでも生活の補完でしかないわけです。WEBだけで仕事できるなんて、ほんの一部の仕事です。
生活においても、通販や申し込み手続きなど進化はしていますが、それでも新しい生活様式前提に設計されているわけではないのです。
テレワークなどももちろん普及し続けるでしょうが、それでも企業がより利益を上げる方向へ進む場合、作業レベルの仕事しかできないテレワークより出勤するスタイルも多く戻ってきます。
新型コロナウイルスに影響がない業種はない
少し話が脱線しますが、ワクチンなどによってV字回復すると思われている場合もあるので少し経済の話もしてみます。
新型コロナウイルスによる業績影響がない企業や業種があるという誤解があると思われていますが、全業種に影響はあります。
今回の経済影響の仕方としては、タイムラグが発生しているわけです。
考えてみましょう。今、B to C 、つまりサービス業が大打撃を受けているわけです。当然、投資が控えられて、次に食材卸、メーカーの受注が下がります。
すると次は、メーカーが設備投資を控えるわけで、機械メーカー、部品メーカー、システム関係が苦しいわけです。
そうなると製鉄や原料系も…とサプライチェーンだけでなく全業種に影響があるわけです。
建設業なども、建設計画が1年、2年前から進んで契約している限りは違約金も高いために希望的観測のもと施工主も建設しているわけですが、これもこの1年差し控えられているので1年、2年ほどタイムラグが発生してダメージを受けるわけです。
これから厳しいのは、そういった飲食や小売だけでなく全業種が厳しい時を迎えます。
景気の回復にはコロナ禍が終焉したとしても、数年の回復は難しいと思います。それも見込んだ上で、営業を継続するか閉店するかを検討してみる必要があります。