書籍リーンスタートアップの読書感想文
書籍 リーン・スタートアップ(Lean Startup) ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
エリック・リース(著)、伊藤 穣一(解説)、井口 耕二(翻訳)
出版社:日経BP社 (2012/4/16)
今回はリーンスタートアップを読んでみた感想を述べてみたいと思います。
このリーンスタートアップを読んだのは出版1年以上経った頃に読んだものです。改めて読み返してみることにしました。
結論からいうと今や製品開発に関しては、この手法が中心になっていくでしょう。
スマホのアプリなんかはまさにこの方法で開発が進められていますよね。
初期リリースをガチガチに開発するのではなく、早い段階で公開してアップデートを重ねてユーザーの反応を見ながら求められていく機能を追加もしくは削除します。
この回転を早く回すことでリスクを回避するとともに、効果的なR&Dやリデザインが可能であることを示しています。
最初から完成さえた豪華機能満載のモノを作る必要はないということを認識させてくれます。
消費者の嗜好や時代の変化は早く、企業はスピード感をより意識していかなければ取り残されてしまいます。
意思決定に時間がかかる、製品企画から2年も3年も掛けて万全を期してリリースしても、すでに時代遅れモデルとなることも大いにありとその準備期間、在庫、損失だけが残ります。
これを防ぐ方法を知るにも一読の価値があります。
概要
構築―計測―学習というフィードバックをハンドルとして方向転換(ピボット)をすべきか辛抱すべきかなど仮説を実行しながらチューニングをしていくことを理論立てて説いた一冊。
製品に限らず、戦略も構築―計測―学習の繰り返しによってマネジメントしていくことも示している。
実験として捉えることで、製品開発をしていく。
開発以前に製品を「どうやって作る」より「作るべきかどうか」を考えることが大切だと説いています。
作るか作らないかで企業の戦略も大きく変わってくるのでより小さなサイズで仮説を回していくことが結果としてスピード感がある事業を展開できることを提案しています。
感想文
出版されたのは2012年なんですね。
起業本として当時結構売れていました。各マスコミによく取り上げられてましたし、リーンスタートアップ理論として研究されていますね。
個人的には、これまでの企業のフローを否定している本だと感じます。
否定というよりは、進化させていくことが重要ですよ。ということを示しているといった方が正しいです。
書籍リーンスタートアップでいう進化は経営の意思決定速度とコスト抑制による再投資が可能になる体制を構築する方法を意味しています。
この本の内容をひと言で表すと、企画して世の中に出るまでの期間や努力が無駄になることを防ぐために、まずやってみる。
仮リリースしてみることで失敗を学びながら事業や製品のレベルを高めていこうということです。
そして何よりも意思決定の速さをあげる構造をつくることができるということです。この意義は非常に大きい。
IT起業本ですが、どの業界においても考え方のプロセスはこの本に当てはまります。
起業はもちろん、製品、サービス開発も準備期間を得てから世の中に出していきますが、おおよそ完成形で出していく志向があるもののそれが失敗に終わる時、大きなダメージを負ってしまうことになります。
そのダメージを受けるタイミングが早ければ早いほど軌道修正できる可能性がある、もしくは撤退するタイミングを逸さない方法を実験と銘打って戦略を作っていくということが中心の本です。
これをアジャイル開発というのですが、スマホのアプリはまさにこれですよね。
まずはリリースしてから、アップデートを繰り返して、より精度の高いアプリになります。
これは利用者の反応から追加した方がいい機能、削除すべき機能などがリリースしてから変更できるという点で、リーンスタートアップの方法です。
例えば、プロダクト系の企業であれば、機能をあれもこれもとしているうちに企業が出したいものと顧客が欲しいもののギャップが生まれないように、とにかく実験的にリリースしてみる、もしくは既存製品に機能を「加える」もしくは「減らす」。
これだけでも顧客の反応を得ることができると思うんですよね。電器製品のハイアールはシンプルな機能が売りですが、モデル変更が顧客の反応を見ながら可能なモデルです。
機能を加えたり、デザイン重視の製品を出したりと最適化しやすい企業だと思います。
IT企業やプロダクト企業に限った話ではありません。この理論は、小売業や飲食業に関しても、適応できます。
例えば、物件の改装にしても大掛かりな工事を最初からする必要はなく最低限からスタートしていけば初期コストが抑えられます。
新築する必要もなく、むしろ古い物件でメリハリを付けたリノベーションで床や天井は古いままでも良く、インテリアや什器さえも新品でなくていいのです。
来店されるお客様の反応を確認しながら変更を加えていけばいいという考え方ができます。
商品も同様にまず小さいロットで作ってみる。機能もしくはデザイン展開を絞るなど実験的要素を持たせることで方向転換や発展することを探っていけます。
踏み込んで見ていけば、職務にも適用できると思います。
営業職や経理でも可能だと思います。このようにセルフマネジメントとしても考えさせられます。
まとめ
構築―計測―学習の繰り返しを小さいサイズ(作者のいうバッチサイズ)で回し続けることで事業に機動力と確実性をあげれるということを学べる本です。
製品だけでなく組織や事業戦略にも適用できることが何よりも大きなポイントです。
これから開業する方や社内で製品開発に携わる方には、自身のスピード感を上げることができると思いますのでオススメです。