飲食店社員の仕事がきついのは人手不足でなく本当は経営の問題

飲食店の働き方って、もうすでに限界を越えていると思うんですよね。

特にチェーン店などでは労働環境がひどいと感じることがよくあります。

長時間労働はもちろん、月給もそんなに高くは望めなかったりしますし、休みなんか取れそうにもない。

会社にもよって違うでしょうが一般的に言って労働環境はひどくなる一方です。

人手不足な時代はこれからも、ずっと続いていきます。まさに先が見えない道をひたすら歩いて行くような気持ちで居る方も多いのではないでしょうか。

これは会社が変わらない限り、一時的には改善できても今後ずっとつきまとう問題になるものです。

ビジネスモデルの転換、機械化によるオペレーションの導入、人属に頼ったノウハウ伝承、からの脱却、事業転換を行える企業だけが事業継続できるような時代に進んでいるんでしょうね。

今回は、労働環境悪化の原因を考えてみました。

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昭和のビジネスモデル

多くの飲食店チェーンは、ここ数十年変わることないビジネスモデルです。

このビジネスモデル自体が今の時代に合わなくなってきているのです。システム疲労ということです。

飲食店の運営モデル

一般的に飲食店では来店されたお客様に注文を伺って調理し提供してお会計してお金をもらうという、まあ当たり前ですがこういうモデルですよね。

考えてみてください、どれも人が介在してますよね。

もっと厳密に言えば人と時間というリソースを使って儲けるというビジネスモデルなんです。これが昭和な所以の一つです。(労働集約型)

今やスマホがあれば買い物もできるし、仕事もパソコンがあれば大半できてしまう時代において全くIT関係なし(原材料の発注くらいはパソコンでしょうが)で稼ぐという進化のないビジネスモデルです。

ここまで効率化されていない業種は珍しいですが、機械化による効率化されなくても、やっていけた時代は過ぎ、そろそろ市場から退場を迫られていくことは間違いないでしょう。

飲食店は高コスト体質

昭和のビジネスモデルは店舗が人口増に対して常に不足している時代、また消費が毎年伸びていたことを前提に作られたものです。

言い換えれば成長期に沿ったものであり、成熟期になった今は新しいモデルを考えていかなければいけません。

個人事業の店舗や数店舗のみの展開をしている小規模企業であれば、自店で開発したメニューや付加価値の高い商品などを提供して高い利益率を得るという今の時代に合ったビジネスモデルが可能です。

しかしチェーン店の場合メニューはおろか、材料も販促さえも各店で考える必要がない、変更が許されないという余白が全くない状態です。

つまり経費コントロールできる幅が少ないのです。

この余白については機会を見て記事にしますが、これが現場から考える力を奪ってきたわけです。それを今更どうにかしろというのもおかしな話です。

つまり店に関わる全てをチェーン本部が用意した事業設計になっており、運営費用が前近代的な水準で設計されているために高コストになるのは当然の現象ですよね。

例えばアルバイトの最低賃金が800円と900円ではあまりにも大きな差がありますし。

総労働時間が1日50時間だと20万円売上あっても2.5%も人件費だけでも圧迫されます。

労働環境劣化の構造

休みなし、長時間労働になるのは当然

飲食店は数名の正社員以外はアルバイトで賄うというのが基本です。

このアルバイトが少し前の時代は安い人件費、必要な時間帯だけ働いてもらうという都合のいいものでした。

しかし今は法定最低賃金も毎年上がってきており、ますます人件費が高騰しつつあります。

以前の記事にも触れたように人件費は経費で一番重いものなんですよね。

これを直視せず目先の対応で(協業や不採算店舗の削減、営業時間の削減)凌ごうとする企業が多いこと多いこと。

経営陣のみなさんもっと現実を見ていきましょうよと言いたいのは僕だけじゃないでしょう。

その上、食材高騰による原材料費が上昇してます。

営業利益率が10%あるかないかの事業で、人件費と原材料費がアップし続けるなか、今までと同じスタイル、事業設計で利益を出さなくてはいけないという現場のプレッシャーは並大抵ではないでしょう。

結果的に人手不足も手伝い長時間労働、サービス残業というパワープレイに店長をはじめ正社員が走るのは構造として当然です。

次いで食材も高騰しても価格反映は顧客離れが起きるので、できない。

人件費は上がり続ける、売上を取る競争は激しくなるという環境で会社には成果を求められるという過酷環境な状態なわけです。

上司や経営陣は精神論に偏って抜本的な解決ができない。

惨劇です。

現場の「えらそうに精神論述べるならテメェがやってみろや」って心の声が聞こえてきます、悲しいことに。

なぜ経営陣は労働環境悪化の解決ができないのか

ここまで読まれて経営陣が改善できない(しない)のは何故かを考えてみましょう。

企業によっては50代が経営陣というのは多いでしょう。大手チェーンなどは定年前なんですかね。

そもそも彼らが若手で現場に居た時代は、約20~30年前です。まだまだ労働人口は多く、景気も良かったり悪かったりはあったでしょう。

しかし、景気が良くても景気が悪くても人が余るような環境だったのは間違いないです。

それは全国的にも小売販売床面積が今ほど無かった時代で、要は需要が供給より多かったんですよね。

事業も人も。

売上のことさえ考えていれば問題なかった時代と言えばいいでしょう。

今までにかつてない人手不足と人件費高騰が続いていく中、そんな時代を体験したこともない世代なんですよね。

そのため「残業するな」「何とかしろ」と声を上げるだけで具体的に改善策を出すことができない。だって、分からないですからね。

それに加えて、改善した所で経営陣にとってメリットは少ない。

現場の人件費が少し減額する位です。

上記にも述べたように、ビジネスモデル自体が時代に対応してないからといって、事業にメスを入れて失敗したら社内評価が下がるだけですからね。

例え、改善が成功しても失敗のリスクと成功のメリットを天秤にかけた時にリスクが明らかに大きいのであれば、現実は現状維持を選択するでしょう。

現場の声より保身ですよ、厳しいですけど。

しかも以前のビジネスモデルを否定するとこれまで自身の頑張ってきたことを否定することに繋がる心理になってしまってます。この心理障壁も会社が変われない理由だと思います。

表面上は長時間労働を解決しなくてはいけないと言いつつ、本当はそんなに問題視していないのが本音の会社も多々あります。

本気で解決しない会社は、さらに人材確保が困難になり事業運営も縮小するしかない将来が待っています。

その場だけの対応策に終始するのではなく、事業モデル自体を見直すタイミングであることをあなたの会社の経営陣は理解しているでしょうか。

もし、全くその傾向がないようであれば、体を壊す前に転職する選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

家族の為、自分の為と言いながら本当に今の職場で幸せに働き続けることができますか。

一人でも多くの飲食店の店長、社員の方々が事業に没頭できる環境が整うことを祈ってます!

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