
2017年11月16日に厚生労働省から労働基準法に基づく違反行為があった企業が公表されました。
今後、定期的にいわゆる厚生労働省のブラックリストは更新されていきます。
まあ、まず見て思ったのは結構無理な指摘しているような企業もあって、正直意味を成していないとしか思えないですね。
しかも労働基準法というより労働安全衛生法が多いことも特徴です。
残業については36協定越えての勤務1名居たらブラック確定ということ。まあ、もちろん違反ではあるんですけども違和感を感じます。
というのも、そもそも36協定の場合結ぶ場合がないほど、残業が少ない会社の場合でもあるんですよね。
それがたまたま数十名、数百名の中からうっかり1名だけが残業時間の制限を越えてしまったという場合はブラック企業ではなく、むしろホワイト企業でしょ。
しかし、厚生労働省側からすれば不当な残業を強いているという結果に見えるわけです。
うーん。お役所視点と民間視点の差でしょうか。
このリスト先には、どんな場合でも諸事情勘案はなさそうです。
企業にとっては【国からお墨付きのブラック企業】の烙印を押されるのでたまったものではないですよね。
もちろん、違法行為を認めるわけにはいきませんが、軽い法律違反ならばほとんどの企業が何らかの形であるのが実情です。僕なりの感想を述べてみます。
目次
公表された企業のブラックな内容は本当にブラック?

給与未払いなどは当然、ブラック企業として挙げるべきですし、不当残業させて当時話題になった電通は出さざるを得ないんでしょう。
というか有名どころが電通しか出ていないってのが逆に不自然ですよね。ハードワーク企業なんか山ほど上場企業だけでもあります。
時間に余裕がある方は、厚生労働省の『労働基準関係法令違反に係る公表事案』から詳細を見ることができますので、ご覧ください。
厚生労働省労働基準局監督課『労働基準関係法令違反に係る公表事案』
業種に偏重がある

どうも作業系の仕事がアウトになりやすいですね。
建設業、製造業で大半占めています。
あとは運送業ですかね。
いわゆる労災が発生しやすい現場系の仕事ということです。
逆に事務系、営業職を多く抱える企業は対象になりにくいということです。
国民が本当に知りたいのは、異常な職場だと思いますが、結局企業内のことに踏み込むことまでは出来ないのでしょう。
36協定結べば制限ギリギリまで働くことも合法ですし、パワハラの横行も各々捉え方の問題ということですから。
それに企業の現場社員から訴えを聞くことなんか役所はしませんし、公平平等の精神という名目のもと、明らかな違反、犯罪行為がない限りは問題ありとは扱いません。
厚生労働省でブラック企業リストを本気で作成するのであれば、労働基準監督署との連携を強くする必要があると思いますけども、そこまで詳細な調査はする気はないでしょう。
わかりやすい違反行為が上がって来れば、それを掲載している印象が強いですね。
送検した仕事の実態

「高所での作業を手すりなどの対策をしていなかった」
「トラックに偏荷重されていない」
「走り行中のフォークリフト又はその荷に接触するおそれのある場所に、労働者を立ち入らせたもの」
「設備担当者がいない」
などは、程度はどうであれ、それだけでブラック企業と公表されると違和感を感じてしまいます。
そもそも、ブラック企業の明確な定義というのは、劣悪な労働環境、パワハラ、サービス残業の無理強いなどが蔓延している企業が公表されることを期待されていました。
しかし、厚生労働省のブラックリストはどうも労働基準法と労働安全衛生法、労災発生させた会社が対象ということが分かりました。
労働者の権利や保護よりも経済界の強さが勝っている構図はずっと続いています。
このバランスを変化させない限りは、いくらブラック企業リストを作成しても本来の意義を得られるものではありません。
ブラックリスト入り企業はどうなるか

企業は是正する必要があるでしょうが、それ以上に社会的ダメージが大きくなります。
何せ国から「お宅はブラック企業です」と言われてしまった限り、求職者も敬遠しますし、事業にしても取引先が問題視してくることもあり得ます。
下手したら倒産に至ること原因になりかねません。
リスト化された企業の擁護をするわけではないですが、ブラック企業という世間のイメージとは違います。
はっきり言って厚生労働省の無理矢理感は否めません。
ブラックリスト公表で抑止力になるのか
ブラックリスト公表制度自体は企業への抑止力に繋がると思います。
しかし、今回発表された内容基準では、ブラックと実体が、かけ離れている場合が多く、事務系、サービス系企業ではリストに載ることは、まずありません。
ほっとしている企業も多いでしょう。このブログでよく取り扱う飲食ブラック企業も喜んでます。
これまで通りで問題ないと国からお墨付きもらえるようなものです。
この基準を改めて策定した方が国民の為になります。
各地方自治体にある労働基準監督署やハローワークなどと連携を強化して情報を得て、対象業種を偏らない、そして実態としてブラック企業を明かす方法を踏み込めるかが鍵でしょう。
外国人技能実習生の扱い問題もリスト化

外国人技能実習生への給与未払いや残業も多いです。
外国人技能実習生の就業環境に関しては毎年厳しくなっており、今回指摘を受けた企業には罰則が適応されます。
このリスト化のファインプレーは、外国人技能実習生の受け入れ企業を掲載していることです。
外国人技能実習生適正実施法が2017年11月1日に施行され、実習生の受入停止はもちろん罰金なども含まれています。
そして、2019年には入管法改正により、外国人労働者の受け入れがさらに多くなります。悪質、うっかりミスのどちらにしろ外国人技能実習生に対して違反行為が増加します。
その抑止力としては、かなり有効なリストとなります。
今回、ブラックリスト化された外国人技能実習生への違法行為に関しては企業としてダメージが発生します。(経営側から見れば、雇用者が減るため業務が回らない等)
これが本来期待されているブラック企業公表をする効果だと思います。
違法行為という括りだけで摘発するのではなく、ブラック企業のそもそもは人権さえ脅かす企業であるのですから。
まとめ
厚生労働省のブラックリスト公表に関しては、想像しているよりも軽微な違反も多いです。
しかも、実態はホワイト企業である可能性もある企業もこのリストに掲載されている可能性は否定されせん。
また現場系の仕事が圧倒的に多いため、サービス業や事務系、営業職などを中心とした企業などは結局摘発されることなく効果は薄い施策となってしまっている印象です。