【一覧あり】2019年も高騰する最低賃金。採用が困難になる理由。

人件費が高い店長の現実

近年、最低賃金額が上昇しています。ここ10年でも全国平均で150~160円の上昇。

その額、全国最低賃金の平均額は874となっています。

一番高いのが、東京都の985円となっています。ちなみに最低は鹿児島県の761円です。

(※762円と1円違いで11県あります。)

特に毎年20円以上加算されているわけですから経営側から考えるとなかなか厳しい状況に感じるのは当然ですよね。

賃金は上がっても、人手不足が解消されるわけでもありません。

むしろ新規採用の余力を削られることさえも懸念する企業もあります。

しかし、嘆いていても仕方ありません。

経営側にとって最低賃金上昇をプラスに捉える方法を経営側で考えていきましょうよという話を今回はしていきたいと思います。

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最低賃金とはなにか。

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

厚生労働省より出典

言葉通りですね。

特に説明は必要ではありませんが、最低賃金を下回る給与しか支給しない場合、使用者は罰せられます。

毎年、最低賃金は見直されますので、うっかり忘れていたでは済まされません。

雇用されている側も自分の給与が最低賃金を下回っていないか確認をしておきましょう。

仮に下回っている時は違法となりますので、事業主側へ通告することで未払い分が支払われます。

もし、支払いを拒否された場合は、労働基準監督署に行って申告します。今回は割愛します。



地域別最低賃金改定状況

平成30年度時点での自治体別の最低賃金は以下の通りです。

 
   都道府県名
最低賃金時間額【円】 発効年月日
北海道 835 (810) 平成30年10月1日
青  森 762 (738) 平成30年10月4日
岩  手 762 (738) 平成30年10月1日
宮  城 798 (772) 平成30年10月1日
秋  田 762 (738) 平成30年10月1日
山  形 763 (739) 平成30年10月1日
福  島 772 (748) 平成30年10月1日
茨  城 822 (796) 平成30年10月1日
栃  木 826 (800) 平成30年10月1日
群  馬 809 (783) 平成30年10月6日
埼  玉 898 (871) 平成30年10月1日
千  葉 895 (868) 平成30年10月1日
東  京 985 (958) 平成30年10月1日
神奈川 983 (956) 平成30年10月1日
新  潟 803 (778) 平成30年10月1日
富  山 821 (795) 平成30年10月1日
石  川 806 (781) 平成30年10月1日
福  井 803 (778) 平成30年10月1日
山  梨 810 (784) 平成30年10月3日
長  野 821 (795) 平成30年10月1日
岐  阜 825 (800) 平成30年10月1日
静  岡 858 (832) 平成30年10月3日
愛  知 898 (871) 平成30年10月1日
三  重 846 (820) 平成30年10月1日
滋  賀 839 (813) 平成30年10月1日
京  都 882 (856) 平成30年10月1日
大  阪 936 (909) 平成30年10月1日
兵  庫 871 (844) 平成30年10月1日
奈  良 811 (786) 平成30年10月4日
和歌山 803 (777) 平成30年10月1日
鳥  取 762 (738) 平成30年10月5日
島  根 764 (740) 平成30年10月1日
岡  山 807 (781) 平成30年10月3日
広  島 844 (818) 平成30年10月1日
山  口 802 (777) 平成30年10月1日
徳  島 766 (740) 平成30年10月1日
香  川 792 (766) 平成30年10月1日
愛  媛 764 (739) 平成30年10月1日
高  知 762 (737) 平成30年10月5日
福  岡 814 (789) 平成30年10月1日
佐  賀 762 (737) 平成30年10月4日
長  崎 762 (737) 平成30年10月6日
熊  本 762 (737) 平成30年10月1日
大  分 762 (737) 平成30年10月1日
宮  崎 762 (737) 平成30年10月5日
鹿児島 761 (737) 平成30年10月1日
沖  縄 762 (737) 平成30年10月3日
全国加重平均額 874 (848)

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」から引用

左が最新(2018年度)、右が前年の額です。

額としては20円以上です。

最低賃金が変わる時期

毎年10月に切り替わります。だいたい8月ぐらいには次年度の最低賃金が決定され公表されますので、9月末には翌月の給与変更を設定しておく必要があります。

最低賃金が毎年上がる理由

これは、様々な理由があるのでしょうが、生産人口が減少していく中で労働力が不足しているということです。求人倍率も上がる一方です。

理由は、単純明快です。

求人数 > 求職者数

(需要)> (供給数)

企業が人手不足である限り、賃金は各社上昇させてでも、採用をしなけば経営していけませんからね。

同時に、求人倍率・景気概況から考えても、最低賃金を上昇させない理由はありません。

「求人倍率が高くなる一方で給与は変わらない」では政府としても国民の支持は得られません。(ほとんどの人が雇用される側ですからね)

また、政策的要因があります。

給与底上げをすることで消費を促し、実体景気を上昇させたいということです。給与が増加すれば、内需の景気を上げることが可能だという考え方でしょう。

本質的には、人件費が高騰すれば、当然製品や商品の値上げに繋がります。

結果的にバランスがとられていきますが、短期的に見れば景気は上がるというわけです。

また、全国平均1000円を掲げている政党もありますし、働き方改革のひとつとして政府も同一労働同一賃金へと舵を切っています。

最低賃金では採用が困難なのは当たり前

求人は困難

最低賃金が上がったからと言って、人材の確保ができるのかと言えば全く違います。

むしろ困難になりつつあります。

どの企業も店舗も最低賃金に上乗せ額の差が少ない給与で人材を募集するからです。当たり前ですけどね。

これまで、例えば最低賃金が800円だった地域で900円で募集していた企業の場合、差別化できた額は100円でした。

しかし、880円に最低賃金が上がれば、差額はわずか20円になります。これでは、わざわざ応募する理由としては弱すぎます。

これが原因で採用が困難になっていく理由です。

つまり、どの仕事も横並びの給与になりつつあります。

コンビニでも、アパレルでも、飲食店でも給与は変わらない。不人気な業態や立地が不便ならまず勤務先としての候補から振り落とされるでしょう。

今後も最低賃金よりプラスして給与を提示していかないと採用が困難なのはいつの時代も同じです。

人材確保ができないのは人手不足だけではない

給与が上がる生産性

上で見たように当然、最低賃金より加算して給与を支給すれば、人材は確保できます。

しかし、最大の問題があります。

現状のビジネスモデルでは、最低賃金の提示しかできない企業が多くなってきています。

言い換えれば、企業の構造上、薄利多売をこれまでしてきた企業自体が人件費の上昇に耐えきれなくなってきています。

その結果、現在では、同じような仕事であれば、人材の取り合い競争ではなく、業界自体に人材の枯渇が進んでいます。

その理由は、簡単です。

すでに、最低賃金周辺でしか雇用できないような業界には、将来給与の上昇が見込める可能性はありませんし、仕事量も人手不足で負荷が高いのが見えているからです。

それでは、採用できている企業や今後も安定して人材確保できる企業はというと、

より高い給与を提示できるビジネスモデル、利益構造を持っている企業が採用できるわけです。

利益構造を転換できない企業は、厳しい採用競争にさらされている状態。

一方、利益構造がしっかりしている企業は、採用に苦労しているわけではないのが現実です。

給与額が圧倒的に差がありますから、それだけで十分競争力があるんですよね。

しかも質が高い人材を選ぶことができる。よって生産性が高い業務を回すことが可能になっていく。

この好循環がさらに採用格差を広げていきます。

一方、そこで採用されなかった、質のレベルに疑問が付く人材がこぼれ落ちてきたのを最低賃金周辺で提示している企業が取り合いしている。

結果的に、人材の質が低く売上や利益に繋がらない、教育するにしてもその時間やコストが良い人材に比べて断然掛かるわけです。

そして利益が削がれていくという悪循環が発生しているわけです。そこに次に外国人労働者とさらに教育コストが掛かる方へ舵を切っていくわけです。

採用できないのは結局ビジネスモデルと意識の問題

退場

結果的に言うと従業員、アルバイトを「最低賃金で働かせられる」という意識が、応募を遠ざける原因になっているんです。

15〜20年前であれば不景気でもありましたし、現在ほど人材不足が言われていたわけではありませんでした。

むしろ採用する企業が減少していたので、最低賃金でも十分問題なく、質、数ともに確保はできていました。

その結果、不景気な時期でも十分、賃金が低いまま推移してきたので利益を確保できたわけです。

この成功体験から脱却できず、同じ体制を持続し続けている企業が今、苦労している、今後さらに悪循環には陥ります。

もちろん、そこで生まれるのは人件費高騰に対して、利益圧迫が当然厳しくなるであろうという疑念ですよね。

経営側が追い付かないというのであれば、そこは市場から退出してもらうことで、支払える企業だけが残っていくという新陳代謝を促す効果もあります。

これは生産性の向上の話ですが、事業自体を合理的にしていく上で労働力中心のビジネスモデルではなく、生産性を生み出せるビジネスモデルに転換していかないと将来的に詰んでしまうのは明確です。

もちろん、企業側としては、合計の総人件費を調整していきますので、正社員の毎年の定期昇給やボーナスに影響する場合もあります。

まとめ

最低賃金が上昇することは、さらに採用を困難にすることがあります。

競争が多い業界であれば、人材自体が枯渇していく傾向になっていくことは間違いないのです。

いつまでも過去のビジネスモデル、特に店舗系では集約的労働を展開してきたオペレーションやモデルを時代の変化についていけるように生産性を上げる方法を考えることが長期的に大切となっています。

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