飲食店の人件費を1割下げる方法(その1)

経費計算

人件費というのは、飲食店に限らずいかなる事業においても一番比率が掛かる経費です。

一般的には売上比率の30~40%程度と言われています。売上が上がればさらに人を増やして運営していきますが、逆に売上が下がれば減らせばいいと安易にできるものではありません。

雇用の問題はもちろん、提供する商品、サービスの品質低下を招く可能性は否定できません。

もちろん時間給のアルバイトであれば多少減らしても運営できるでしょうが、それはその場凌ぎであり根本的な人件費圧縮には繋がりません。

しかし、事業に関しては人件費を圧縮することで利益を多く出せることは売上比率から見ても確実です。この一見ジレンマを抱える人件費のコントールする本質を考えてみます。

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シュミレーションで数字捉えてみる

本質的な人件費の圧縮の方法は、教育とシステム改善です。

一人当たりの生産性を10%以上伸ばせばそれだけで総労働時間数×110%の売上が可能になります。

例えば12時間営業の店舗で各時間帯人時が4名とします。(ここでは簡単に計算するための例にします。)アルバイトの1日総労働時間数が48時間となり、

48時間×時間給1000円=48000円

ですね。これが48時間に対して10%生産性が向上すると、

48時間×110%=52.8時間

必要人時数が48時間なので4.8時間の人件費が削減できる、もしくは投資できるという考え方です。1日にするとわずかですが、これが1か月だと

4.8時間×30日=144時間となり、144000円程の人件費に猶予ができるわけです。

これを利益にすると営業利益率が例えば10%の事業店舗であれば1,440,000円の売上を上積みしたインパクトと同等です。(あくまで簡単にしてます。実際は変動費や限界利益などを考慮しますが、ここでは考え方なので割愛)

さすがにこの金額を売るには相当な努力が必要ですよね。

ここでは極端ですが、考え方はこれで問題ありません。

教育による生産性の向上

1人1人が作業効率を向上することで結果的に人件費を下げるという考え方です。

習得レベルに差があるのは当然ですが、その習得期間を圧縮していく手順を作り上げていかなければいけません。

これを多くの人が明確な時間単位で捉えず自己判断でしている人がおおいのではないでしょうか?

「この人はこれくらいできるから次はこれしてもらおう」

「まだまだ仕事覚えるのが遅いからトレーニングが必要だろう」

という自己基準が追々苦しいことを生み出す可能性があります。

例えばマネジメントのソフト面における不満原因「えこひいき」「誰々は仕事しない」とかも実はこの曖昧な基準が生み出す一つの副産物なのです。

※この問題に関しては本題とはズレるので今後どこかで解説します。

話を戻しますと、1名が現在より平均110%の作業、仕事ができるようになると仮定すると、4.8時間の猶予ができます。

繰り返しになりますが、総労働時間48時間×110%=52.8時間

となります。

ある人は120%が見込めるでしょうし、105%までに留まる可能性もありますが、平均として110%を目指すことが重要です。

仕事量を全て数値化するのはもちろん簡単ではありませんが、一つの目安として、10分の作業を9分で出来るようになど、時間軸で評価していくことから取り組んでみましょう。

地味ですが、この積み重ねが重要です。残念ながら一瞬で人件費を減らす魔法はありません。

システムによる生産性の向上

就業規則

教育してもなかなか人件費率が下がらないこともあります。

すでに上記の様な作業効率が図られていて、これ以上の余白分野がない場合です。

設備の更新や作業の省略、変更といった部分です。

例えば、食券機を導入している店舗などはこれに当てはまります。意外と会計行為というのは作業の中断、対応時間を取られてしまいます。

これを自動化することによって削減するというのが目的です。

他には、食材仕入れの時に1食分などすでに小分けにされたものを仕入れる場合なども仕込み時に小分けにする時間を削減したりしています。

その他の例としては、食器洗浄機のキャパを拡大する、食材、備品などの配置転換などもこれに当てはまります。

シフトの1時間刻みから30分刻みへのシステム変更なども効果的です。人為的行為をよりシステム見直しましょう。

注意すべき最大の点は、圧縮の副作用で売上を落とさないことです。

コスト圧縮しても売上が下がればそれはマイナスになります。

また、しっかりした意思疎通や目標を設定して共有しないと離職するなど、ただでさえ採用コストは上昇している昨今、努力が泡となることもありますから注意しましょう。

このパターンで人件費率をさらに下げると、ルーチンワークなどを始めとするオペレーションを改善していく必要があります。

今までの仕事手順を大きく変える可能性があり現場を混乱を招くこともあるので、まずしっかりと計画してから導入していきましょう。

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